\勝手に/映画『シャイロックの子供たち』公開記念

こんにちは!スタッフの二宮です。

 

今週末、 2月17日(金) に阿部サダヲさん主演 『シャイロックの子供たち』
(2023、本木克英)が公開されます!

 

阿部さん出演作品を気にするようになって数か月ですが、切れ目なく映画・ドラマ・舞台の情報が解禁され、引っ張りだこだなと、その人気を実感しております。(舞台挨拶や3年ぶり再開演の舞台、イベントはことごとく落選です。🥲)

本日は映画公開を記念して、イメージを覆す(かもしれない)阿部サダヲさん出演映画を三作品ご紹介いたします。さらに、先日『シャイロックの子供たち』の先行上映にて、一足早く鑑賞が叶ったので、本編についてもご紹介できればと思います!

 

『舞妓Haaaan!!!』のコミカルかつハイテンション!に始まり、クドカン作品のコメディな役どころが印象強い阿部サダヲさんです。

今回紹介する『死刑にいたる病』(2022、白石和彌)をきっかけに様々な作品を観るようになってからその魅力にドはまりしております。役者さんなので当たり前と言われればそうなのかもしれませんが、“阿部サダヲなのに阿部サダヲじゃない、でも阿部サダヲ” という、ややこしいけどこれが一番しっくりくる好きな所です。

 

『シャイロックの子供たち』も、阿部さん初池井戸作品!初銀行員役!ということで、また新しい阿部さんです!

<2月17日公開!映画『シャイロックの子供たち』公式ホームページ⇩ https://movies.shochiku.co.jp/shylock-movie/ >

 

阿部サダヲさん出演映画3選

阿部サダヲさん×松たか子さんはドラマ「スイッチ」も面白いですね!

『夢売るふたり』2012、西川美和監督

 

 夫婦で小料理屋を営む里子と貫也。ある日調理場から失火し、店を全焼させてしまう。

飲んだくれる貫也が起こしたある出来事から里子は新しい店を開く資金調達のため、結婚詐欺で女性たちを騙すことを思いつく。

次第に女性を騙すことに罪悪感を覚えるようになる貫也だが、里子は止まらない。

里子の行動は資金のためか、男を操り女を騙す享楽のためか―。

 

 

好きな監督、演出、脚本家の方などで作品を観る方も多いのではないでしょうか?

私は好きな傾向や雰囲気で選ぶことが多いため、制作陣の方については今まで全くと言っていいほど詳しくはないのですが、

『夢売るふたり』を観てはじめて、映画ファンが制作陣で映画を観る意味が分かった気がします。

調べて知りましたが、昨年観て好きだなと思っていた映画『素晴らしき世界』の監督さんでした。

 

当初阿部さん目当てで観ましたが、この作品は松たか子さんの醸し出す負のオーラと不気味さが素敵でとても印象に残っています。

決して明るくはないですが、暗すぎず、妙にコミカルで軽快かと思いきや時々陰なバランスが大好きです。

里子の生活感や一人で過ごす現実感と対照的な貫也が女性と過ごす非現実のような雰囲気。

結婚詐欺に楽しさを見出しながらも感じる、里子の貫也に対する執着や愛みたいなものと、ふとした瞬間の貫也から里子への愛や二人の変わらない日常が垣間見える点に惹かれます。

 

現実のバランス、わたし自身リアルを知らないはずないのにリアルで、人間の感情ってこうだよな、と『素晴らしき世界』を観たときも思った感想を抱きました。

 

印象が全く変わりますね…役者さんってすごい。

『死刑にいたる病』2022年、白石和彌監督

 

24人の行方不明となった少年少女の殺害容疑で逮捕された榛村大和(はいむらやまと)。

典型的な秩序型連続殺人犯であり、9件で立件・起訴され、第一審では死刑判決を下された。 

控訴準備中の榛村はある関わりを持つ大学生・雅也に手紙を送る。立件されたうち1件の事件については冤罪であり、犯人が他にいることを証明してほしいという内容であった。

手紙を読んだ雅也は榛村との面会を重ね、独自で捜査を進めていく。  榛村はなぜ雅也に手紙を送ったのか、真犯人は誰なのか。雅也がたどり着いた真実とは…。

 

(参考:『死刑にいたる病』オフィシャルサイト https://siy-movie.com/)

 

ハイライトの消えた阿部さんのうつろな目、話題になってましたね。

 

最近になって、阿部さんが好き、というと大抵この映画の名前と同時に「面白そう。気になってる!」と言われるのですが・・・。

 

観てください、ぜひ。(アカデミー優秀主演男優賞受賞、最優秀主演男優賞ノミネート㊗です!)

クドカン作品しかピンとこない・・・という方にこそ観ていただきたいです。

 

阿部さん演じる榛村は、少年少女のある体の“部位”に執着しています。自分好みの“それ”を見つけると標的を定め、友好的な関係を築き、信頼を得たところで…。

 

この、榛村が執着しているものも絶妙な緊張感を与えてきます。

 

榛村の整った爪、雅也に送る手紙に見える几帳面な文字の並び、穏やかな声質とテンポ。これらに加えて、阿部さんの顔の作り、どこかあどけなくて年齢不詳。若さというより“幼さ”を感じる髪型といった外的要因。

闇深いと同時に無垢なのがアンバランスで不安定。作中で榛村は友好的な人柄で人々に溶け込みますが、スクリーンのこちらでも観客をその不安定さで魅了するという二重で魅力的な人物です。

 

榛村がすごくピュアな気すらしてきます。無垢と共存する闇、これも全部阿部さんだからこそなのではないでしょうか。

 

最後までぞわっと、その目に魅了されるでしょう…!沼です。

(⚠️グロテスク描写有り。拷問苦手な方はご注意ください。)

 

サダヲさん初のクズ男だそうで、個人的に大好きな役です。

MOMTHER マザー』2020、大森立嗣

 

すべてを狂わせる《この女》、聖母マリアか。怪物モンスターか。

ゆきずりの男たちと関係を持つことで、その場しのぎの生活をおくる自堕落で奔放な女・秋子。
しかし、彼女の幼い息子・周平には、そんな母親しか頼るものはなかった。

やがて寄る辺ない社会の底辺で生き抜く、母と息子の間に“ある感情”が生まれる。
そして、成長した周平が起こした“凄惨な事件”。彼が罪を犯してまで守りたかったものとは——?

 

(『MOTER マザー』オフィシャルサイト https://mother-news.tumblr.com/ より引用)

 

映画を三人称で見るか、一人称で観るか、という面白い個人ブログを読んだことがあるのですが、みなさんはどちらでしょうか?

または、一人称の場合は誰に移入するのか?

初回観て、好きだったのでもう一度、そのあと阿部さんを見るために観て…上に書いた〇人称で映画を観るか?とはまた違うかもしれませんが、意識して“誰かに注目して観る”というのも、当たり前ですがその時々で見えることが変わって、自分の気持ちに幅が出るというか、作品への愛着?みたいなものを感じます。もしくは、無意識で“誰に注目してしまうのか”ということを考えても興味深いです。

 

わたしは長澤まさみさん演じる秋子、そして阿部さん演じる遼の出会いと再会のシーンが大好きです。

再会するとき、二人のしわは増えて、遼の金髪メッシュは白髪のメッシュになり、でも秋子の横で飛び跳ねる遼という構図はそのままで。

難しいので深くは言及できませんが。

 

クズ男を演じる阿部さんが大好きでクズヲを見たいがために…という不純な気持ちが大いにあります。一般的に「クズ」のイメージがないであろう阿部さんにクズがここまでマッチしている、色気もどこか怖い雰囲気も、マッチどころか最高すぎるというのも阿部さんの魅力です。

 

『シャイロックの子供たち』2023、本木克英

 

東京第一銀行の小さな支店で起きた現金紛失事件。お客様係の西木雅博は同じ支店の愛理(上戸彩)と田端(玉森裕太)とともに、事件の真相を探る。

一見平和に見える支店だが、曲者揃いの銀行員が勢ぞろい。

出世コースから外れた支店長・九条馨(柳葉敏郎)、超パワハラ上司副支店長・古川(杉本哲太)、エースだが過去の客にたかられている滝野(佐藤隆太)、調査に訪れる嫌われ者の黒田(佐々木蔵之介)。

そして真相にたどり着く西木。

それはメガバンクにはびこる、とてつもない不祥事の始まりに過ぎなかった—。

 

「池井戸作品は『熱い』世界だから自分とは遠い世界」と阿部さんご本人がインタビューで発言されています。池井戸作品に阿部サダヲ・・・なんか不思議な組み合わせだな~なんて思うのですが。

わたし自身、ドラマなどで“「池井戸潤原作!」とみると、何ならちょっと避けちゃっていました。(それがまさか先行上映に足を運ぶなんて…)

 

観たことないけど、なんか熱い人が出てきて悪と対峙して押しつぶされそうになりながら成敗する、という勧善懲悪物語のイメージ。

第5回調布のまち映画フェスティバルの『シャイロックの子供たち』先行特別上映と併せて開催された、監督と編集トークショーにて、編集の川瀬功さんもおっしゃってましたが、『シャイロックの子供たち』はそうではない。

『シャイロックの子供たち』に関して言うと、もしかしたらわたしのように「今まで池井戸作品避けてた」という方も好きな作品なのではないかと感じました。

 

主人公・西木雅博はかっこよくもあり、可愛くもあり、熱いけど爽やかで飄々としてて、どこかつかみどころがなくさらっとしている様子にすごく阿部さんを感じました。そういう主人公だから、「熱さ」が苦手でもとても観やすく、余韻に浸れるのかもしれないと思いました。(これは贔屓目なしでもそうなはず。)

 

嫌な感じのある女性行員とか、ある場面その瞬間すごく心を掴まれた男性行員(予想だにしない展開でした)、などポスターにはいない魅力的な人物や、あの時すでにこうだったのか、という二度三度楽しめる部分。これこそ“誰に移入するか、してしまうか”を考えてみると、とても面白いのではないかと思います。

今回先行上映というものに初めて行きましたが、観終わった後に拍手が起きてなんだか感動してしまいました。先行上映はこういうものなのでしょうか?なんだかよい空気を味わわせていただいたなぁと余韻でした。

今はサブスクリプションも豊富ですし、そこにはない作品もレンタルDVDで見ることが出来る便利な時代です。それでも、映画館の、知らない人もいるその空間まるごと映画に浸っている空気は特異なもので、贅沢しているなと、優雅な気持ちになれますね。

 

ご紹介の過去作品はサブスク、DVDで、『シャイロックの子供たち』はぜひ映画館で!

わたしは二回目いってきます👐

 

 

最後まで阿部さん贔屓になりつつも、でしたがお付き合いいただき、ありがとうございました😌